というのも、僕の仕事というのは、うちの会社の契約者が加害者となった場合に、被害者にお詫びと今後の対応をすること。
「加害者の代行」と表現すれば伝わるだろうか。
加害者の代わりに治療費を支払ったり、休業補償(お仕事を休ませてしまった分の補償)をしたり、慰謝料を払ったり。
正直、被害者の方の中には激昂される方もおり(むしろ、こちらの方が多い?)、過去には怒鳴られっぱなしで挨拶が終わった経験もあるわけで、対応に非常に気を使わなければならない。
過去の苦い経験が脳裏をよぎるが、そんなのおかまいなし。
今回は、60代女性。
うーん、情報がなさすぎる。。。
が、行かねば誰が行く。
いざ。
というわけで、武雄市の病院まで車を走らせた。
病院に到着し、いよいよ被害者面談。
病室で出迎えてくれたのは、深々とお辞儀をされている人の良さそうな初老の女性。
「今日は遠路はるばるお越し頂いて、ありがとうございます。」
なんていい人だ。
この前2時間弱も僕を怒鳴り続けた○○!この女性を見習え!という小さな自分を押し殺しながら、被害者の方とお話をさせて頂いた。
どうやら、農家を営んでおられるようで、事故当時、直売所へ葡萄を運んでいたとのこと。
事故の衝撃で葡萄は見るも無惨な形になってしまったそうだ。
お身体の怪我をよそに、延々と葡萄の話をされる被害者の方に、なぜか僕は涙を流してしまった。
「私たちが作ったものは、是非食べてもらって、それで喜んでもらいたい。それが私たちにとって一番嬉しい。」
将来、僕に子供ができて、もし、その子供が事故で亡くなったとしたら。
僕はそうとらえて、涙を流さずにはいられなかった。
葡萄などの作物に費やす年月と、子供を育てる年月には明らかに違いはあるが、生きて死ぬという人生の「春夏秋冬」に表せば、あまり違いはないのではなかろうか。
僕はそう思い、また涙を流したのである。
こんな僕に、被害者の方は優しく、
「今日は遠路はるばるお越し頂いて、ありがとうございました。お気をつけて、お帰りくださいね。あっ、あなたたちはベテランだから、事故は起こさないわね。」
と言ってくれた。
やっぱりこの仕事、楽しいぞ。
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